
電池にはさまざまな種類があり、身近なものでは使い切りの乾電池が多くのお店で売られており手に入れやすいものです。また近年の電子機器の登場により充電できる充電池もあり、その充電池のひとつがニカド電池があります。
近年はニッケル水素電池やリチウムイオン電池の登場によって、あまり見かけなくなったニカド電池ですが、現在でも販売されており、ニカド電池にもメリットがあり用途によっては十分に使っていくことができるものです。充電池を選ぶ時には、その電池の性質や性能を理解した上で選ぶことが、電池で駆動する機器を長く使っていく上では欠かせないものといえます。
ニカド電池とはなにか?
ニカド電池は充電池のひとつで、正確にはニッケル・カドミウム蓄電池とも呼ばれます。英語の「Nickel-Cadmium rechargeable battery」の頭文字をとって、「Ni-Cd」とも表記されているものです。
電池には正極(+)と負極(-)があり、それらは電解液に浸されています。この正極と負極が電解液の中にあることによって電子の移動が起こり電気が発生するもので、この仕組みはあらゆる電池に共通しているものです。しかし、使われる素材によって電池としての効率が異なるため性能にも違いがあります。また使われる素材によって充電できるものと出来ないものがあり、使い切りのものは一次電池と呼ばれ、充電できるものは二次電池と呼ばれているものです。
ニカド電池は二次電池であり、充電することができます。正極には酸化水酸化ニッケルを使用し負極にカドミウムを使用しており、電解液には水酸化カリウム水溶液が用いられているものです。乾電池規格に小型できる充電池の中ではもっとも歴史が古く1960年代に民生用として使われ、さまざまな電気機器に用いられてきたものになり、現在でもその特性を生かした機器の電源として使われています。
ニカド電池のメリット
ニカド電池のメリットは、その特徴によるものです。内部抵抗が小さいため大電流の放電ができることや、低温環境での電圧降下が小さいこと、通常の電池と比べて自然放電がニッケル水素電池よりも少ないといった点があげられます。また他の種類の充電池では、すべて放電してしまうと充電できる電流の容量が減少してしまいますが、ニカド電池はほぼゼロになるまで放電をしても所定の回復充電を行えば容量が回復することができる特徴があるものです。
ニカド電池の内部抵抗の小ささは大きな電流を流せるためパワーの必要なものを動かすのには向いているもので、電気を多く必要とするコードレス電話や電動工具、シェーバーなどに向いています。それと0℃以下の低温環境では電池の性能が著しく低下し、実用に耐えることができなくなることがありますが、ニカド電池では低温への影響が少なく0℃からマイナス20℃の範囲でも使用することが出来るのため極寒地でも使用することができるのがメリットといえるものです。
電池の自然放電は、自己放電抑制型のニッケル水素電池と比べれば劣ってしまいますが、それらの機能がないものと比べれば自然放電は少ないものです。
ニカド電池のデメリット
ニカド電池のデメリットは、充電池としてみた場合の性能が他の種類と比べて劣る点です。特に低温環境で使えるリチウムイオン電池の登場によって、使用環境での優位性がなくなっています。それと同じサイズでみれば、ニッケル水素電池の方が放電容量が大きく、自己放電抑制型のニッケル水素電池であれば、放電時間の面でも劣るため、多くの機器ではニッケル水素電池が採用されるようになっているものです。
充電する時にも注意が必要で継ぎ足し充電を繰り返すとメモリー効果が出やすいのもデメリットといえます。このため継ぎ足し充電でもメモリー効果が出にくいリチウムイオン電池の方が充電池としては優れているものです。
ただ充電池としての性能は使い方や工夫をすればニカド電池でも十分にその役目を果たすことができるものですが、最大のデメリットとして有害なカドミウムが使用されていることで、使用済み電池は適切に処理することが求められ回収が行われています。
他の電池も資源の再利用という観点から回収は行われていますが、有害なカドミウムが使われていることから、事故を防ぐために家庭用に使われる機器の多くは、そのほかの種類の充電池に置き換えられる傾向にあります。
まとめ
ニカド電池は、現在でも販売されていますが性能や使われている物質の問題から家庭用に使われる機器専用のものはニッケル水素電池やリチウムイオン電池に置き換えられる傾向にあります。ただ乾電池タイプのものでは、低温環境での使用が可能なため一定の需要があり、現在でも手に入れることが可能です。
充電池としての性能としてみればそのほかのものと比べても遜色ないもので、また大電流の放電にも耐えうる性能を有しているので、大きな電気を必要とする機器には向いており防災機器に使われたり、産業用としても現在でも広く使われています。